ステップ2.勝つKPI管理チームを作る
KPI管理のガバナンス
次にKPI導入にあたり、どのような組織形態で実行するのかという、ガバナンス戦略を立てる必要があります。通常経営戦略室等が全社KPIの導入を検討しますが、KPIではそれとは独立した、社内の選ばれたメンバーからなるKPIチームを作ることが推奨されます。経営陣からサポートされた各部署出身者からなる数人のKPIチームが、KPIの導入をより円滑なものにするでしょう。
このKPIチームに権限を与えるのが社長を筆頭とした経営陣の役割です。先述の通り社長自らがKPIチームに全権を委任することを表明することと、社長自らが設定されたKPIにコミットすることの2点が、勝つKPI導入の成否の重大な部分を占めます。
KPIプロジェクトメンバーについては、懐疑的なシニアメンバーから、怖いもの知らずの若いリーダーまで幅広いキャラクターを、必ずフルタイムのKPI管理チームを専属で揃えます。このチームは社内の全ての部署に対峙するハブである必要があります。ただし、経営陣は通常忙しくてフルタイムでKPI管理プロジェクトに参入できないため、決してKPI管理チーム入ないことを推奨します。
一方で対局にある各事業部においては、各事業部のKPIオーナーを決める必要があります。全ての事業部のオーナーがKPI管理チームとの面談の時間を確保し、情報の提供やフィードバックをする義務を負います。担当役員はもちろん、各従業員、更には外部業者まで、いかなる関係者もKPIプロジェクトに有益な貢献ができるように、このKPIチームがファシリテートしていきます。KPI管理導入後も、KPI管理チームに対して、毎日欠かさずレポートをし、主体的にアクションを取り業績向上の最前線に立つポジションになります。
KPI管理チームを設定するための主要なタスクは下記の4つになります。
タスク1.メンバーを選定する
人事部と先に任命されたファシリテーターは経営陣がKPI管理チームメンバーを選ぶ手伝いをします。必要に応じて人事データベースで調査しますが、多くの場合人材は社内の意外な場所に隠れているでしょう。中にはKPI関係の運用を実際にやったことがある人物もいるかもしれません。選定の基準は、下記の項目をなるべく多くを含んだ人物を探します。
コミュニケーション能力とプレゼンテーション能力に優れている
クリエーティブでイノベーティブである
自らアクションプランを作り、それを最後までやり遂げる強い意志を持つ
組織の壁を理解し、他人、他部署を巻き込める
プレッシャーがかかってもプレッシャーと向き合うことができる
笑顔を絶やさない
そんな人物がいたら苦労しないと思われるかもしれませんが、それほどKPI管理チームメンバーは責務重大なポジションということになります。
候補者が見つかれば次のような質問をし、その適性を確認します。
今まで業績指標を管理したことはありますか?
それはどれくらいの頻度で計測していましたか?
もしKPIが目標を外れたときどのような行動をしますか?
目標を達成するために人を動かせますか?
その際の考えられる障害は何ですか?
通常なんらかのプロジェクト管理を成功裏に遂行した人であれば、KPI管理プロジェクトの大任を大きな問題なくこなすことができるでしょう。
タスク2.候補者のフルタイムでのプロジェクトへの参加を交渉する
KPI管理の成功のために重要な要件は、KPI管理に専念する主務の要員で構成する優れたKPI管理チームを作ることです。KPI管理チームでは名称に重みがないと思われる場合は、エンタープライズ・パフォーマンス部等、適切な名前をつけると良いでしょう。
よく有りがちなのが各部署の担当に兼務発令をして片手間にやらせることです。各部署の窓口担当はそれで問題ありませんが、KPI管理全体を推進するKPI管理チームは必ず、独立した専任のメンバーで構成されている必要があります。全社が一丸となって、業績指標の計測を通して、業績を向上させようとしない限り、KPI管理で良い結果を見ることはありません。
タスク3. 各部署窓口担当を任命する
KPI管理チームは、各部署の責任者と接触をし、今後KPI管理プロジェクトの各部署の窓口担当となる人をアサインしてもらいます。この窓口担当は単なるコミュニケーションの窓口に留まらず、KPI管理チームが必要とする情報を正確にタイムリーにレポートする責任を担います。そのため、各部署の現場のオペレーションに熟知した担当もしくは、情報に簡単にアクセスできる情報システム担当のどちらかが適任といえます。
タスク4.KPI管理メンバーにトレーニングを提供する
チームが結成されたら、先ずはそのチームに対するトレーニングが必要となります。社内にKPI管理に十分な知識を持った人がいればその人が講師となりトレーニングします。もし、社内に適任者がいなければ外部のファシリテーターやコンサルタントを検討します。導入を間違えるとうまくいくプロジェクトもうまく起動しません。KPI管理チームのメンバー全員がKPI管理のプロを自認するレベルになるまで、教育を実施します。
これらのタスクを通して是非貴社でも、「勝つKPIチーム」を編成して下さい。
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