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ステップ4.総合的KPI設定の戦略を立てる


本ステップは最適な結果を得るためのKPIそのものの導入するステップです。KPIの重要性を説きながら、既存の戦略にしっかりと各KPIをマッピングしていきます。業績の劇的な向上のためには、いかに「最適な形で正しいKPI」を導入していくかが鍵となります。


導入の成否は、多くの場合組織のサイズ、ビジネスの多様性、地域、社内リソースの充てがわれる量等に左右されます。KPI適用の1つ1つが同じものが存在しない指紋のようなもので、それぞれの組織により様々であるため、ケースバイケースで、関係者とKPI管理チームが協力して導入していく必要があります。


下記は、いくつかのよく有る質問です。このような質問に簡単に答えられるようになれば、貴社はKPIを業績向上の秘密兵器そして有効に導入することができるでしょう。


  • そのようなことをやる時間とリソースがありますか?

  • 過去の同様な取り組みで何らかの結果を得ることができましたか?

  • どうせ形骸化して終わるのではないですか?



総合的KPI導入計画の主なタスク

タスク1.既存の業績指標文化を理解する



KPI管理を成功させるためには、先ず今まで既存の業績指標がどういう思想で作られ、どのように運用されてきたかを理解することが非常に重要です。新規に作られるKPIプロセスが適用されるまでには少々の時間がかかります。そのため、先人たちの努力を理解し、その努力に感謝しつつ次のレベルに移行していくことでその移行期間をうまく乗り越える事が可能となります。


タスク2.導入フェーズを分けたKPI導入


100人程度の組織であれば1ヶ月から2ヶ月あれば新規にKPIを導入することが可能です。100人規模以上であれば、各フェーズを区切った導入が必要とされます。組織の規模が大きければ大きいほど、最初のフェーズの重要性が上がります。従業員規模が10万人のような大規模なマルチナショナル企業の場合は、最初の導入と初期フェーズは一つの中核事業に限定します。中核事業に与える影響は大きく、また本社の関与も期待できるため、スムースに導入できればその後のフェーズに大きなポジティブな影響を与えることができます。


従業員規模が数千人の組織の場合は、主要事業部にKPI管理チームを作成します。これらのKPI管理チームはKPIコアチームによりサポートされます。このKPIコアチームは、社内コンサルティングチームとして、主要事業部のKPI管理チームをサポートしていきます。KPIコアチームのサイズは、どれくらいの期間でKPI管理を軌道に乗せたいかにより変わります。これらの社内コンサルタントはKPI管理手法をマスターしている必要があります。


このような形で、各事業部専属のKPI管理チームがKPI プロジェクトを立ち上げていきます。しかしコアKPI管理チームのサポート力にも限界があるため、一度に複数の主要事業のKPIプロジェクトを立ち上げることは現実的ではありません。


主要事業に続く海外拠点や、他の事業部での立ち上げは違った形の抵抗を受けやすくなります。文化の違いにより、より多くのワークショップが必要であったり、必要でなかったりします。またM&A等により新しく参加に入る海外子会社でのPMI(Post Merger Integration)を通したKPI管理の導入はより慎重を期する必要があります。社内の異文化経験が長いKPI導入経験者が導入計画を慎重に立て、買収した会社の経営陣と、ミッション、ビジョン、ストラテジーといった、高い視点から、戦略目的をすり合わせ、お互いに合意したKPIを導入していく必要があります。本社で採用しているからというだけで、同じKPIを導入するのは、現地の不信を買う可能性が高くなり、失敗への近道となります。




タスク3.開始をしたら全てのフェーズが期間内に終わるように務める


KPI管理をすんなりと浸透させるには、立ち上げ時のチャンスと勢いを逸しないこととにつきます。ひと度一つの事業部が選ばれたのであればそれを成功裏に立ち上げるために全力を尽くします。選ばれた時点で地ならしは済んでいるはずなので、全てのフェーズが指定期間内に終わるように努力します。KPI管理に関わらず、新しいマネジメント手法を導入するにあたり、従業員の信頼を得る最も効果的な方法は、先ずは小さな何かを期限内にやって成果を出すことです。そういう意味で、企業文化の変革までを含めた導入をしっかりと期限内に実行することがKPI管理の今後の成功の必須条件となります。


タスク4.全社への導入は柔軟に


KPI管理は全社一斉に導入する必要は全くありません。典型的にはトップダウンで進められますが、ボトムアップ型で導入したい事業部から導入するというのも問題ありません。柔軟性が許容されている場合、各部署のそれぞれのチームが、それぞれのペースで、それぞれの必要性と準備度に基づいて、KPI導入を進めることができます。もしも貴社が何らかの危機に瀕している場合は、KPI管理導入の延期も視野に入れて、柔軟に進めていきます。ダラダラとなし崩し的に導入するよりも、しっかりと経営陣やキーパーソンがコミットできる状態で初めたほうが、よほど効率的です。このような柔軟なアプローチにより、主体性のないKPI管理の導入や、リソースの逼迫を回避することができます。



KPI管理チームは、該当組織の経験のあるマネージャーと相談しながら、また、経営陣の何人かにレビューをしてもらいながら、添付リスト6.のワークシートを記入する必要があります。

いくつかのギャップが明確になり、追加の資料が必要になることがあります。KPI管理チームは明確になったギャップや戦略を別途計測する必要はありません。ここではギャップを明確にすることが重要なのです。



総合的KPI導入のための質問表

  1. 既にミッションステートメントや戦略プランなどのハイレベルな目標は作られていますか?

  2. 会社の行動指針等働き方を規定するものはありますか?

  3. 向こう1年間に劇的なリソース不足を予期させるプロジェクトはありませんか?

  4. KPI管理によりもたらされる変化について、経営陣はコミットし従業員は変化を受け入れる準備はできていますか?

  5. KPI管理チームが知っておくべき主要な戦略課題はありますか

補足

1.もし既存のビジョン、ミッションステートメント、戦略プラン等が存在しないのであれば、先ずはその作成から始めるべきです。戦略的方向性なくしてはKPI管理を軌道にのせることはできませんし、戦略的方向性を経営陣なしで決めることはできません。しかし、だからといってKPI管理プロジェクトが停止するのではなく、KPI管理チームがその戦略的方向性を経営陣と一緒にきめるという形で貢献していくことが可能です。


もし既存のビジョン、ミッションステートメント、戦略プランがあるのであれば、それらを事前に入手してから初めます。高度な戦略的内容が含まれているとそれを全従業員にしらせて、競合から漏れたらどうするのかという懸念がでてくる可能性があります。そのようなことがないように、全従業員にしらせて問題ない粒度で戦略プランを入手するようにします。


2.会社の行動指針があるのであれば、これから導入するKPI管理はその組織のバリューとしれを規律する行動指針に合致したものであることを常に認識しておく必要があります。


3.自身の所属する部署だけでなく、他部署や全社横断的プロジェクトが準備されていないかしっかりと確認します。KPI管理導入で最も簡単に避けられる問題は、既に予期された大型プロジェクトで工数がなくなることです。そのような大型プロジェクトがある場合は、すんなりとKPI管理プロジェクトの延期を決定します。


4.KPI管理導入の目的は、業績の劇的な向上であり、そのためには今までのやり方とは違うやり方の導入が必要です。そのことに対して、経営陣がしっかりとコミットをして、従業員に対して変化が必要なことを自分の口で話し納得してもらうことが必要となります。


5.KPI管理を通してその経営課題に立ち向かう予定ですので、それらの重要な経営課題をKPI管理チームが認識しておくことは非常に重要です。





本ステップのまとめ:

総合的なKPI管理導入プランは従業員やマネジメントの士気を高め、より強いコミットメントを得られるようになります。

 

KPIとは」についてはこちらをご確認ください。

KPI管理に関するご質問はお気軽にこちらまでお寄せ下さい。

Twitter @KPITrustでも随時ご質問をお受けしております。


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