STEP2. 全社の重要成功要因を定義する(その2)
前回からの全社の重要成功要因を定義する方法の続きです。
ステップ3.戦略目的の設定
設定したビジョン、ミッションと戦略を達成するための戦略目的を設定します。戦略目的とは抽象的な言葉で表されるビジョンや戦略を業績評価指標に置き換えやすいように設定した、その戦略を遂行することにより達成したい目標の事を指します。戦略目的は次に説明する重要成功要因(CSF)と同時に設定する事により、抽象的なビジョン、ミッション、戦略を業績指標に置き換えやすくなります。
戦略目的とは、戦略の骨子であり、戦略のDNAのように戦略を補佐します。戦略目的は戦略が実行しやすいように分解されたものです。同レベルのステークホルダーでまとめられ、それぞれのテーマが互いにリンクしてできあがります。これらの互いにリンクされた戦略目的の集合体を戦略マップと呼びます。
戦略目的設定のタスク
各戦略テーマに従い戦略目的を検討する
全社的戦略目的を決定する
戦略目的の説明を書面にする
戦略目的の責任者を決定し役割を定義する
ステップ4.戦略マップの作成
戦略マップとは、すべての戦略的要素がどのような因果関係で組織内にてつながっているかを表示します。従業員レベルが各戦略に結びつくように描かれます。それは、各従業員にとっては各個人の責任の基礎であり、経営陣にとっては業績指標、目標設定等、全ての戦略的活動の基盤です。
戦略マップ作成のタスク
戦略マップのロジックを理解する
戦略テーマ別戦略目的のマップを作成する
戦略テーマ目的のマップから全社的戦略マップを設定する
全社的戦略マップを実際に使えるものか各工程を上下双方から検証する
必要に応じて戦略マップをアップデートする
このように戦略マップを作成することにより、各人の行動と業績との連動がわかりやすくなり、業績指標を設定する際の手助けとなります。また、この分かりやすく描かれた戦略マップを従業員に共有することにより、各人の日々の活動をより重要な戦略に沿ったものに変革しようとするインセンティブが働き、その達成に向けた目標を設定することで業績に連動した評価制度もスムースに導入することができます。
ステップ5.重要成功要因の設定
設定したビジョン、ミッションと戦略または戦略目的を達成するために必要な重要な成功要因を組織レベルで設定します。KPI管理を成功させ、企業の業績を劇的に向上させるためには、社長を筆頭に経営陣から従業員一人ひとりまで、このビジョン、ミッション、戦略と、それを達成するための重要成功要因を理解している必要があります。
そのためには、適切な視点から重要成功要因の分析を行なうことが重要です。例えば、業界がインターネットショッピング業界のように、消費者の取り合いをしているような業界では、新規メンバーの獲得と、既存メンバーのリテンションが重要な重要成功要因となるでしょう。また貴社がとっている戦略により、商品差別化を図るのか、コストリーダーシップを取るのか、特定の顧客に集中するのかにより、重要成功要因も大きく変わってきます。重要成功要因を洗い出す手法としては、業務のボトルネックや、クリティカルパスの検証、過去の成功事例、失敗事例の洗い出しなどが有効です。
重要成功要因選定のタスク
戦略目的を達成するための要因を最終的な売上や利益から因数分解をしてできる限り多く洗い出します。
洗い出した要因の中から最も重要と考えられるものに仮説を立て、数個選択します。
選択した要因が戦略目的を実現するために因果関係があるかどうかを検証し、因果関係が認められる場合のみ重要成功要因として決定します。
決定した重要成功要因を実現することで、本当に戦略目的が達成できるかという視点から、見直してみると、その選出した重要成功要因が適切かどうかを比較的容易に査定することができます。
勝つKPIを定義する
ここまで実施してようやく、KPI設定の準備が整ったと言えます。次のステップとして、設定した戦略目的・重要成功要因を評価するための具体的な業績指標(KPI)を決定します。ここでは単に財務的な結果指標(KRIやRI)だけではなく、非財務的指標(顧客の視点、業務プロセスの視点、成長と学習の視点)についても偏りなく設定します。それぞれの視点に対して客観的に、定量的に指標が設定されることで、バランスの取れた経営の見える化が可能になります。
本ステップのまとめ:
重要成功要因の定義のために、現状の査定、戦略、戦略目的、戦略マップを再検討することにより、勝つKPI管理導入のために重要な基盤が導入でます。
KPI管理に関するご質問はお気軽にこちらまでお寄せ下さい。
Twitter @KPITrustでも随時ご質問をお受けしております。