STEP7.勝つKPIのレポーティングフレームワークを作成する(その1)
KPIレポートのフレームワークは組織の各階層のニーズに合致し、タイムリーな意思決定に貢献するものである必要があります。業績指標の重要度別に下記の頻度でレポーティングを行います。
日次アップデート
通常ほぼ全てのKPIは当日午前9時なり10時なり、定めた時間に自動的に24時間体制でアップデートされて報告される必要があります。この自動的には必ずしも「全自動」を意味するわけではありません。スタッフレベルでは手入力をしていたとしても、経営陣にはそのデータが入力された状態で送られる必要があるという意味です。この日次アップデートに基づいた日報システムについては後述します。
週次アップデート
次に多くのケースで、追加指標として週次で報告されるべき複数個のKPIが存在するはずです。重要な週次のレポーティングのひとつがプロジェクトのローンチ/遅延数と、重要指標に関する経営陣への報告の遅れです。このプロジェクト遅延レポートは組織全体に劇的な変化をもたらすはずです。
月次アップデート
残りのPI(パフォーマンスインジケータ)は、各組織の戦略目的に沿って月次にレポートします。取締役には通常毎月KRIの記載された1ページのレポートを提出します。これらのKRIは組織の健全性を示しますが、それらはPIやKPIではありません。通常組織の戦略目的を達成するには10個程のKRIを計測する必要があります。このようなKRIは取締役会へ報告に使われる一方、取締役会の主な役割はガバナンスですので、取締役会がKPIを細かく見て戦略目的の実行度合いに口を出すのは控えたほうが良いでしょう。
レポーティングは放っておくと往々にして遅延します。それ故に「やり切る」文化が浸透していることが非常に重要となります。メンバーがプレゼンテーションの色やアニメーションは何がいいかというような、本質的ではないことに時間を費やしていることはよくあることです。このようなことはKPIプロジェクトで起こってはいけません。
経営陣がKPI管理チームの判断を信用し、KPI管理チームに経営戦略に沿ったKPIレポーティングの設計を委譲することが望ましい状態です。経営陣は変えようと思えばいつでも変えられる立場ではありますが、KPI管理チームに、彼らの作成したストラクチャーをポジティブに採用すると伝えることで、より自走したKPI管理チームが出来上がるはずです。経営陣が必要としているのは組織の戦略目的をカバーするレポーティングのストラクチャーであり、細かなディテールではありません。重要なことは事前に設定したレビュー期間中に必要な変更がしっかりと盛り込まれることです。このレビューを事前にしっかりと実施することで、後出しの仕様変更のリクエストが来ることを避けることが出来ます。
KPITrust社のKPIアプリのレポーティングテンプレートは、改善のアイデアを刺激するように考案されています。このKPIアプリを使うことで、マネジメントチームやKPI管理チームが、KPIの計測後の必要なアクションそのものに注力するための手助けとなります。
各指標は必ずそのトレンドを示すグラフが必要となりますので、何らかのWEBアプリが、グラフを作成するツールとして適切です。
理想的には日次や週次の各業績指標はシステムにより取得し、WEBアプリに登録し、全てを関係社員に開示します。必要であればTVモニターに見栄えの良いダッシュボードを作るアプリなども併用します。これにより、全社レベルの重要なKPI全てが、全従業員に認知されるようになります。KPIに関してより多くの露出があればあるほど、オーナーシップの感覚が増し、理解が深まり、結果としてより多くの業績向上が望まれます。
社員の的確な行動が取られるために 社長や経営陣が毎日KPIを気にかければ、従業員も自然にそれらのKPIを気にするようになります。社長が毎日2~30分、目標に達しないKPIの数字について質問をしたり説明を指示したりすることで、すぐにチームにKPIが根付きます。毎日社長から何本もの電話をもらっているという事実は、スタッフにとり良い出世街道ではありません。別の言葉を使えば、KPIがどこに向いて進んでいるのか質問して歩きまわり、スタッフと話すのが経営陣の日課であるべきです。従い、たとえ出張中であってもインターネットを介してKPIのアップデートを入手出来る環境を構築する必要があります。 一方それに応えるために、従業員はKPIに対してどのようなアクションを取るべきかというトレーニングが必要な場合もあります。権限委譲を徹底するためには、従業員は必要なアクションを取るためにリソースを確保し行動をする自由があることを理解してもらい、経営陣がその権利を保障する必要があります。
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