STEP8.PDCA導入の7つタスク
いよいよこれらのPDCAを回す技術と仕組みを理解した上で、次にPDCAサイクルを高速に回す7つのステップについて説明いたします。
タスク1.目標の設定 KPI管理の基本的な単位は月単位の計測です。従い、先ずは全社の目標からその月の目標を決めます。次にその月間の目標を日次の目標に変換します。その際、無意味な数字とならないように、週末や祝日など変動要素を考慮します。更に、目標設定時にはその目標が、低すぎたり高すぎたりしないように、昨年もしくは先月の実績に対する成長目標を決定するようにします。
タスク2.複数個のPlanをリストアップする 通常それらの目標は何もしなければ達成出来ないものであるため、それらの目標を達成するには何をする必要があるかを、プロセスの分解を通してリストアップします。ここで重要なのは各プロセスで複数個のアクションを同時にリストアップすることです。日々動きが速くなっているビジネス環境で、月に1個の施策では結果が出るのに1ヶ月かかり、次のアクションの結果が出るのに更にもう1ヶ月かかります。もし、何らかの方法で12個の施策を同時に出来るのであれば他社より1年早く勝利の方程式にたどり着く可能性が早まるということです。
タスク3.Do 期日を決めて全て同時進行 それらのアクションに期日を決めてリソースが可能な限り同時に実行します。何らかの結果を見極めるためには数日では非常に短いことが多いため、最低1週間走らせてみます。その際も1週間後に分析するのでなく、翌日からしっかりと分析することが重要です。この際、ステップ1で決めた1日単位の目標に向かって走ることが重要です。
タスク4.Check 1日の勝ち負けを必ず明確にする Checkプロセスで重要なことは、今日(もしくは昨日)は勝ったのか負けたのか、勝ち負けをはっきりとさせることです。負けた場合は何故負けたのか、をしっかり記録していくことで、後日どのプロセスに問題があるのかをレビュー出来るようになります。ビジネスは日々勝負であることを従業員に理解してもらう上でも、この1日の勝ち負けは非常に重要です。
タスク5.Action 明日勝つためのアクションを明確にする その上で、今日上手くいかなかったことを明日どのように改善して実行するかという、明日のアクションを明確にします。この作業を全ての当初リストアップしたアクション毎に実施します。この時何を決めたのか、またその決めたことがしっかりやられているのかをフォローアップするために、PDCAを回す仕組みと技術で説明した、レポートのフォーマットが非常に重要になります。最近はAsanaなどのコラボレーションタスク管理WEBアプリが多数出ていますので、自社の業務形態合わせて導入も検討すると良いでしょう。
タスク6.2回目のCheck ひとつのサイクルを検証する 一般的にPDCAサイクルが回らないのは、通常PDCAをサイクルとして管理していないからです。ステップ1で設定した指定した期日のサイクルが終われば、どのアクションが上手くいったのかを精査します。その際、インプットとアウトプットの数字を明確に管理し、どのプロセスのアウトプットもしくはインプットに問題があるかを突き止めることで、全体のボトルネックを把握することが出来ます。それらの作業を通してやらなくて良い努力を明確にし、次に更に改善する要素を洗い出していきます。
タスク7.2回目のAction 勝てる領域に絞って実施する ひとたび、全てのサイクルが終わればそのサイクルの中で選別された最良のアクションに絞って次のサイクルに入ります。その際も絞ったアクションを更に細かく場合分けをして、複数のアクションを回せるようにリストアップします。このように、アクションを複数同時に回すことで、サイクル毎に未知の領域が高速にどんどんと減っていくことになります。この未知の領域をいかに早く減らして、勝てるアクションに集中して取り組んでいくかが勝つPDCAサイクルの最も重要なコンセプトになります。
このようにPDCAを回すにはその仕組みと技術をしっかりと理解した上で、担当者を明確にして次のアクション起案、実行を計測することが重要です。特に業務の現状フローが分かっていないと次の改善につなげられないため、改善したい業務に関しては一度フローチャート化をすることが必須です。その上で可能であれば日次での入力を促し、毎日、未提出者に対して入力するまでしつこく追及します。これは通常従業員から嫌がられる仕事ですが、KPI管理の意義をしっかりと伝え、会社としての型になるまで腰を据えて取り組む必要があります。この活動は非常に明確に、継続すれば効果が出ることが証明されています。その一方で従業員の最も嫌がる活動でもあるため、社長を陣頭に率先してチェックしていく必要があります。
KPIが入力され始め2週間が経つと先週との比較が見られるようになります。この段階で常に先週より成長しているかに気をつける習慣をつけさせます。目標値に及ばないKPIが必ず出てきますので、そのKPIプロセスの因数分解を実施し、必ず次のアクションに落とし、対応までの日にちと責任者を明確にし、全担当者に情報共有します。この一連のサイクルを、いかに他社より早く実施出来るかが勝負の分かれ目となります。それぞれの活動の品質を上げるために、先ずは業務フローを理解し、数字の計測を開始し、改善アクションを策定して実行します。このPDCAサイクルをいかに複数、高速に回すかが、勝ち続ける企業の秘訣です。KPI管理活動を通して、このような企業文化も含めた勝ち続ける企業の土台を構築していきます。
本ステップのまとめ: PDCAが回る土台とやり切る仕組みを作ることでKPIを軸とした勝ち続ける仕組みを構築することが出来ます。
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