勝つKPI管理チームの作り方
経営トップのコミットを得て、オペレーションの最前線で働いている従業員にもKPI管理の趣旨をよく説明し、さあ、KPI管理のスタート! これまでにない新しい取り組みを始める当初は、組織全体に熱気があり、関係者は何事にも前向きに取り組みますが、KPI管理の運用をうまく行わないと、スタート時点では高かった現場のモチベーションは徐々に下がっていきます。
そこでKPI管理の運用の中心となる「KPI管理チーム」の腕の見せどころです。
KPI管理の運用体制
小規模な企業であれば、経営トップ、または、その直接の指示を受けた従業員数人でKPI管理を運用していけますが、ある一定規模以上の組織においては、社内の各部署から選ばれたメンバーからなるKPI管理チームを作ることを推奨します。
経営トップの直轄の部署(経営企画部など)に籍を置く少人数の専任者が業務にあたる、または、全社的に組織横断の重要タスクとして位置づけて、専任の(籍は元の部署に置いたまま)プロジェクトチームとして機能させるのもよいでしょう。各部署の担当に兼務発令をすることもありますが、KPI管理の運用の中心となるKPI管理チームが片手間仕事では、良い結果をもたらすことはないでしょう。専任者を置くことは必須です。
KPI管理チームメンバーの選び方
KPI管理チームは社内の全ての部署に対峙するハブとして機能しますから、KPI管理チームには多様なキャリア、知識、ノウハウ、キャラクターを持ったメンバーをバランスよく揃える必要があります。KPI管理の導入に懐疑的なシニアメンバーを含めるのもよいでしょう。社業の経験は浅くても、素早く手を動かす体力のある若手も必要です。
但し、経営陣は通常忙しくてフルタイムでKPI管理の実務に参画できないため、決してKPI管理チームに入れてはいけません。
優先順に具体的な選定基準を示します。
1.高いコミュニケーション能力
2.高いプレゼンテーション能力
3.組織の壁を理解しつつ、他部署の社員を巻き込める
4.自らアクションプランを作り、それを最後までやり遂げる強い意志を持つ
5.クリエーティブでイノベーティブである
6.プレッシャーがかかっても笑顔を絶やさずにプレッシャーに向き合うことができる
候補者が見つかれば次のような質問をし、その適性を確認します。
今まで業績指標を管理したことはありますか?
それはどれくらいの頻度で計測していましたか?
KPI管理で目標を外れた場合、どのような行動をしますか?
目標を達成するために、どのように人を動かしますか?
その際の考えられる障害は何ですか?
何らかの大きなプロジェクト管理を成功裏に遂行した人であれば、KPI管理プロジェクトの大任を問題なくこなすことができると考えてよいのですが、その経験がなくても、状況を仮定した質問に適切に答えることができれば、適正ありと判断してよいでしょう。
経営トップのKPI管理チームへの関わり方
経営トップは、KPI管理の運用について、このKPI管理チームに全権を委任していることを全社に向けて表明することが重要です。KPI管理チームは、現場のKPIオーナーと定期的に面談し、さまざまな依頼を行いますから、現場から軽く見られることがあってはなりません。KPI管理の運用実務では、経営トップの代理人として扱われる必要があります。
KPI管理メンバーのためのトレーニング
KPI管理チームが結成されたら、先ずは、KPI管理に十分な知識を持った人が講師となって、チームメンバーに対するトレーニングを実施します。社内にそのような知識を持った人がいなければ、外部からの招聘を検討しましょう。KPI管理チームのメンバー全員がKPI管理のプロを自認できるレベルになるまでに引き上げるのが、このトレーニングの目的です。
トレーニングでは以下の項目を学習します。
・ KPIの基礎・種類
・ 既存のレポートの入手と分析
・ KPI関連書籍の読書 ・正しいKPI設定の方法
・ KPI管理ツールの理解
・ KPIデータの入手方法の理解
・ コンフリクトの対処
・ 組織を超えたコミュニケーション
まとめ
上記により、KPI管理チームは結果を出す強力なチームとして社内に認知されます。経営トップにしっかりとサポートされたこのKPI管理チームは、各部署とのコミュニケーションをスムースに行い、KPI管理の基礎を構築していきます。