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KPIには従業員が動き出す魔法の名前を


KPI management

KPI管理を導入しましたのはいいが、従業員が自分のこととして捉えられない、従って企業の業績が上がらないという事態は多くの企業で起こっています。そういう事態を避けるためにも、従業員が腹落ちする手順で導入していくことが必要だということは、筆者の著書を通して説明してきました。もし、自分の健康を維持するために必要な指標が分かればそれを維持しようと努力しようとしますか?といった類の、自分のことに置き換えて考えてもらう手法です。


またOKR(目的と主要結果)的アプローチでは、オンラインショップのトラフィックを20%上げるという目標に対して全部署が自分の部署の守備範囲でできることを達成しようと努力していきます。


このように、理論的には何をすべきか分かっているのに多くの企業でKPI管理がただの経営陣を喜ばす活動として位置づけられ、一方の経営陣はレポートは出されるが業績が上がらないという矛盾に直面します。


ドラッカーが、「目に見えないものは計測できない」と言ったのは有名ですが、多くの企業の課題はその「見える化」の方法にあるといえます。多くの企業では、KPIのダッシュボードの見せ方やグラフの種類といったものに時間を使い、それこそがKPIの見える化だと思っています。また、KPI Trustの所謂競合にあたる企業の殆ど全てが、如何に数字を自動で取得し見栄えのいいダッシュボードを作るかに注力しているのも事実です。


ここでは一歩下がって、その「見える化」の手法を根本から考え直してみましょう。KPI管理は企業の成長のために行うわけですが、皆さんが考える「成長」のイメージとは何でしょうか?ここでひとつエクセサイズをしてみましょう。



「成長」をイメージしてください。その「成長」を紙に書いてみて下さい。



さて皆さんは何を書きましたか?


多分ほとんど多くのケースで皆さんは右肩上がりの矢印を書いたのではないでしょうか?きっとここにKPIの見える化と従業員の腹落ちの間にギャップがあるのだと思います。矢印を書いた人の多くが通常のビジネスで使う左脳、即ちロジックで考えてイメージを書いたと思われます。一方で、右脳で考えるとどういう絵が書かれるでしょうか?公園に行って同じ問いかけをしてみます。



「成長」を描いてください。



きっと多くの人が緑の木々や花の「芽生え」を書くのではないでしょうか?


この時人々は右脳を使っています。この右脳からくる直感的なイメージこそKPI管理に必要な要素ではないでしょうか?即ち、従業員が直感的なイメージとし捉えられるKPIの「見える化」こそがKPI管理に必要な「見える化」であり、KPI管理の推進と成功に必要な重要要素です。


多くのケースで10個ほどのKPIを管理していると思われますが、その10個のKPIの例えば転換率やら、オーガニックトラフィックやらを管理すことではなく、もちろん管理はするのですがその上に立つ、何故それを計測して、どのように計測して、いつまでにやるの?ということを明確にすることの方がより本質的に重要と言えます。


オンラインショップのケースでは、企業全体のKPIに「12月までに利益率を10%上げる」といった名前をつけます。このようにKPI管理に“何故その数字を管理しないといけないのか“という名前をつけてみてください。OKRでいうKey Objective、主要結果と同じものです。OKRというと何やら難しそうな横文字の新しい経営フレームワークに聞こえてしまいますが、そのような難解なものを別途勉強して導入するより、今あるKPI管理そのものにひとつの名前をつけまししょう。そう、それだけの簡単なことです。


右脳に働きかけることで、従業員が結果をイメージすることが出来、そのイメージの理解度を深めることが従業員を一致団結させる近道です。それらによってもたらされる、従業員の自律的な行動こそが業績を劇的に向上させる唯一の手段であり、KPI管理が最も威力を発揮するところでもあります。


※本投稿はMediumにも投稿しております。



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